◆そばって何?
◆蕎麦の産地

◆製粉技術と篩いの技術

◆そばって何?◆
 「そばって何?」皆さんも実際のところ『そばって何』と素朴な疑問をお持ちなのだと思いますが、そばというのはタデ科の一年生の草木で雑穀です。通常穀物というのは、八穀で、お米、大麦、小麦、大豆、小豆、アワ、ヒエ、アサ。これが八穀です。そばというのは穀物の部類ではないのです。
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 それが室町時代に、初めて麺切りとして登場してきます。それ以前は救荒米というお米の代用品として日本に古くから伝わっている食べ物でした。
 穀物ではないのに非常にそばが魅力があるというのは、お米、大豆、いろいろありますが、非常に高蛋白であるということです。お米の蛋白価は68、そばの蛋白価は86、母乳を100としたときに、非常に母乳に近いのがそばです。ですから寒村では、母乳が出ないときには、そば湯で赤ちゃんたちを育てたということがよく言われています。
 ですから非常にバランスの優れたものなのです。
それと小麦とそばの典型的な違いは、同じタンパク質、糖質でんぷんからなっているのですが、そばのタンパク質は水溶性タンパク質、水に溶けやすい。ですから小麦と違って、皆さんがそばを召し上がったときにそば湯を飲みますね。あれはそばのタンパク質が湯の中に流れ出たものを補給するという意味で、そば湯を飲むのです。
 それと麺状にした状態で、小麦とそばの違いはどこかというと、小麦というのは氷水で化粧水と言いますが、冷やして水洗いをしたときに、硬く締まってくるのが小麦です。そばというのは、氷水の中に冷やしたときに、小麦のように絶対に硬くならないということです。ですからわりと弾力がストレートに出てくるのがそばです。

今日皆様のお手元にそば屋のそばの見方として、香り、風味、粘り、弾力、舌触りという項目を入れました。これを 5点法で表現しますと、すべてのバランスが揃ったものがオール5になる。これは皆さんがこれからそばを召し上がる上で、ひとつの基準として考えてください。いろいろな見方があるでしょう。ただ私はそういうふうに考えています。

よくそばの香りといいます。そばの香りというのは、そばの持っているタンパク質が醸しだすものです。それから風味、それはでんぷんのもっている味です。風味というのは、通常五味、5つの味といいます。甘・辛・酸・苦・塩辛。物にはすべてこの5つの味が基本になります。これは主にでんぷんが表現する部分です。それから粘り。粘りというのは、そばの持っているタンパク質の部分です。弾力というのは、でんぷんです。舌触りというのは、粒子の粗さ、大小によって舌触りは変わってきます。

 ですからこれから皆さんが、そばを味わうときに、この5点法を感じて、自分はこれは5だな。これは3だな。これは1だな。というふうに感じて、そばを評価し、そして自分なりのそばを見つけることが、一番のそばだと私は考えております。
 ですからそばはよくつなぎを使わないで、生粉打といいますが、全粒粉で打ったもの、それがそばが一番だと言い方はしません。小麦を入れて、山芋をいれる、卵をいれる、入れればそれぞれの特徴が出ます。しかし、そばの持っている本来の姿というのは、粘りと弾力、香り、風味、舌触りだと思います。
ですからその中で、皆さん自身が美味しいと考えるそばを、これから見つけていただければ幸いかなと思います

そばの断面図ここにそばの断面図をお持ちしました。これが粉の文化のひとつの極めつけなのですが、そばというのは三角錐になっています。それでこの部分は外皮です。そばのタンパク質というのは、この外皮に近い部分がタンパク質です。この真ん中に近い白い部分、これがそばの胚乳といいます。それでそばは真ん中に胚芽があります。ですから救荒米として10年おこうが、何年おこうが発芽します。非常に生命体の強い雑穀です。真ん中にあるために、非常に保護されるのですね。

これを皆さんは粉にするときに、一緒くたに粉にするのだと思っていらっしゃると思います。でもこれは今から250年前、江戸の藤兵衛(トウベイ)店というお店で、初めてこれを外皮を外し、このタンパク質、胚乳、胚芽という粉をふるい分けることに成功するのです。これが粉ふるいの文化です。小麦ではこういう製粉の仕方は一切ありません。ふすま、外皮を外してストレートに挽きおろしていきます。ところがそばだけは、今から250年前に、こういうふるい分けの技術でもって、粉を取り分けることやっていたわけです。

俗に言ういなかそば、言葉が非常にやわらかくなっていますが、本来いなかそばというのは、ばくろうそばです。ばくろうたち、腹持ちのいい食べ物にするために、この繊維を外皮を入れるのです。皆さんはこの外皮の入ったものが、そばの香りだと信じられております。この外皮というのは、すべてそばの持っているアクです。そばの本来持っている香りというのは、タンパク質の部分です。この香りを感じるというのは、よく噛むことです。
 そばはよくのどごしと言いますが、よく噛むことです。噛んでいますと、そばの持っている香りが広がり、それが鼻に抜けてきます。それが本来持っているそばの香り。それから風味というのは、噛むことによって糖質でんぷんの甘味が口の中にふわっと広がっていくのが、これが甘味です。ですから機会がありましたら、是非そういう食べ方をやっていただくと、いいかなと思います。

 この胚芽の部分ですが、この部分は若干色が黒っぽく出ます。そのためにあまり麺作りには使いません。
でんぷんですから、この胚芽というのは、花粉(ハナコ)といいまして打ち粉に使います。

この打ち粉というのは、私もそば打ちの指導で、3年ほど素人集団を指導してまいりましたが、柔らかくやったから打ち粉をふるうのだという意識が非常に強いのです。そうではなくて、打ち粉の効用というのは、そばというのは保水性がないのです。小麦というのは逆に非常に保水性がいい。水が一旦入ると、小麦は水が表に出にくい性質があります。そばは、水が一旦入っても、すぐ乾燥しやすいのです。

ですからそばだけでそばを打つときは、乾燥が早いために打ちおきが出来ないという条件が入ってくるのですが、そばを打ったとき、柔らかく打ったときは、打ち粉をふってはいけない。その時には、ゆっくり時間をかけて伸ばしはじめることです。
 むしろ今日の水回しがちょっと硬めで、ちょっときついなと思ったときに、初めて打ち粉をふって、水分の蒸発を防ぐ役割をさせます。意外に皆さん間違えてらっしゃる。そばはそばだけで非常につながらないのだという意識が、皆さん強いのです。

 ところがよく大晦日にそばを食べますね。あれはひとつはこういうことです。昔金粉細工の職人たちが、床に落ちた金粉を拾うために、そば粉を練ったものを転がすことによって、金粉を拾ったものです。ということは、そば粉は物を付ける力があるということです。ただし時間をおいておくと、すぐに乾いてくっついた金粉をぽろぽろと剥がす。 そういうことからそばを食べることによって、お金を身につけるということで、縁起物としてのそばがあるのです。

そばというのは、正直言いまして、知識さえあれば、そば粉だけで打つ方が打ちやすいのです。ただ皆さんはそばを打つときに、欲をかいて大きな玉にしすぎるのです。大きな玉にすれば、それだけスピードをあげて伸ばさなくてはなりませんから、その技術のないのにやろうとするから、みんなひび割れて切れてしまうのです。水分が非常に少ないのです。
ですから皆さんも、そばだけで打とうと思うときには、なるべく量を少なくする。手早にそばを打つ。うどんは、逆にゆっくり打つ。水が入っていかないから。ですからうどんを打つときに、足で踏むという操作は、水分を行き渡らせるために体全体で揉むということです。
 ですからそばと小麦というのは、全然異質なのだと思って、これから機会がありましたら、是非そば粉をいじってみてください。

それとふるい方によりまして、粒子が粗いもの、細かいものでは扱い方が違います。粒子が粗ければ粗いほど、表面的には水分が入りますが、中には入りません。逆に粒子が細かければ細かいほど、水は入りにくいのです。
 ですから、そばを打つときに、粒子の粗いものと細かいものとの比率をどういうふうにするかということも考えていかないと、なかなか打てないことになります。

 あとは粉をいじるということは結構楽しいものです。はまります。自分が打ったものが一番美味しいということも分かってもらえると思います。ですから機会がありましたら、そういう経験をなさってみてください。

今日はほんのさわりの部分ですが、そばというものはひとつは粉をふるいわけられたものを、食べ分けるということにあります。
 それから4通りの打ち方があります。すべて水でやる場合。80度のお湯を使う場合。80度のお湯というのは、でんぷんの場合、80度のお湯を使うことによって、アルファ化して、粘りを引き出して打つ方法です。それから熱湯を使う場合。熱湯と水、4通りのそば打ちの仕方があります。
 ですから外皮、タンパク質、でんぷん、胚芽という4通りの粉を取り分けるわけですから、ざっくばらんに言って、16通りのそばが出来ます。その中で、この粉の組み合わせ、バランスを変えていくことによって、無限大のそばが出来上がるわけです。ですから、そばってこれだというそばはないと思います。
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静岡製機:穀物水分計 - SB-5「コメット」

◆蕎麦の産地
産 地 名 区分 蛋白質(%) 澱粉(%) 繊維(%)
牡丹蕎麦 (夏蕎麦)
   茨城県瓜連
12.5 62.0 12.7
茨城大粒 (四倍体)
   常陸太田
14.0 73.3 2.2
宮崎大粒 (四倍体)
  茨城新治産 夏蕎麦
12.8 71.7 1.5
宮崎大粒 (四倍体) 11.1 78.3 1.8
北海北早生
  (幌加内)
10.2 66.0 11.4
栃木在来種 13.7 61.0 6.6
茨城在来種 (天下野) 14.4 64.0 9.7
茨城県在来種 緒川村 右畑 12.6 65.6 0.7
左畑 12.4 67.0 0.8
新治産 常陸秋蕎麦 右畑 12.5 71.9 1.1
転作田 12.1 72.3 0.8
茨城水府 常陸秋蕎麦 12.6 71.9 0.7
金砂郷 常陸秋蕎麦 赤土 13.7 68.5 0.6
                                                    検査機関 : 理工科学(株)
                                                    検査法 : 衛生試験法
図表の見方 : 数値が高いほど強くなる
     ○蛋白質 →  香りと粘りの部分
     ○澱粉   →  腰の部分(モチモチ感)(跳ね返り)(甘味)
     ○繊維   →  もそもそ感 ごそごそ感

     小麦やその他を使用すると特徴はだしにくい



◆製粉技術と篩いの技術
石臼製粉・ロール製粉
篩いの文化
篩いの基準 60番〜65番が基準
挽きぐるみ

胚芽
胚乳
二番粉
三番粉
外皮

石臼製粉・ロール製粉の製粉工程
剥き身 蕎麦殻
篩い分けられた蕎麦粉
★ふるい 210mm×60目    ★ふるい 210mm ×80目
そばの断面図 胚芽 胚乳・一番粉
蕎麦の断面図 109番(胚芽) 116番
(胚乳、一番粉)
挽きぐるみ 甘皮、ヘタ、三番粉 外皮、ふすま
95番(挽ぐるみ) 40番以下
(甘皮、ヘタ、三番粉)
86番
(外皮、ふすま)
※ 篩いの番号は1cm四方に縦横同数の糸を張り網目を作ること
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