蕎麦と道具

日本の食生活を豊かにした粉食、私達の先祖は遠い昔から稲作を始め米を粒食しつずけて脱穀から精白まで、すべての作業が杵と臼で賄われてきました。水戸市大塚町にある大塚農民間の展示室には昭和35年頃の一般農家の道具が展示されています。
三輪茂雄先生が『粉の文化』の中で、パンは小麦から造る。同じように自動車もテレビもみんな粉のお化けだといったら誰でもまさかと言う。
だが生産の原点までたどると、必ず素材としての粉があり、エジプト文明以来今日まで粉を造って、練って、固めてというパターンは変わっていない。天明の飢饉に粉にすれば何でも食べられると言う記録がのこっている。

日常言葉で粒と粉の違いは肉眼でブツブツが見分けられるものが粒、もっと細かくなって、粒が見えなくなるとわけが分からなくなるから何でも粉と呼ぶ。米が立つと書いて粒、米を分けると書いて粉である。
水戸市大塚農民間に有る農具から粉にして食するまでの過程を考察してみると事に。最初に雑穀から実を取り分ける方法として足踏みの脱穀機やくるりん棒を使用しむしろの上に雑穀を広げくるりん棒で上から叩き、外された雑穀を唐箕にかけ雑穀についている異物に風をおくることで異物を飛ばします。次に万石通しです。これは雑穀についている石や汚れをとります。タテ杵と臼を使い外皮を割りそれを更に唐箕や箕を使い外皮を取り出します。さて最後の粉にする段階です。これは杵と臼を使い衝撃粉砕です。これは胴搗き粉砕でたたいて粉にする方法です。
以上簡単ですがとりあえず粉にして練った物あるいは切り物として食べる事ができます。

現代社会における製粉技術の裏側を探ってみたいと思います。
まず収穫は、自然乾燥、脱穀、石抜き、粒揃え、挽き割り、石臼、篩い、粉、以上が蕎麦を粉にする過程です。
現在の製粉技術はこれだけではないのです。用途により一粒を粉にした物を篩い分ける事をします。蕎麦独自の製粉技術で外皮、甘皮、胚乳、胚芽等、篩いを使い篩い分けします。全粒粉というのは、この全体を言います。それぞれの特徴は、外皮−蕎麦のもっているアクざらつき、甘皮−香りとねばり、胚乳−甘味と弾力(白い)、胚芽−甘味と弾力(若干黒い斑点)、以上の特徴をもっています。
舌ざわり、ねばり、香り、弾力の総合力だと思います。
この特徴の有る蕎麦を自分好みに転じて新しい蕎麦感と各地の特色豊かな蕎麦が生まれるのではないでしょうか。

県の改良品種『常陸秋そば』はねばり、香り、弾力が平均化されていて繊維の部分が極端に少ないのが特徴です。粒子の粗い粉、細かい粉、それぞれに特徴をもった麺切り、練り物、になります。
以上述べたように自分に合った美味しい蕎麦を見つける事をお薦めいたします。
古来粉食文化は日本独自の文化をもったものです。
徳川家三百年の長い歴史の中での蕎麦文化は目をみはる物が数多くあります。
光圀において、現在友部町内柿橋という場所は水戸家の御用蕎麦処として歴史の中に記録されているのです
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