FXって何?初心者が知っておきたい基本の仕組み
FXという言葉を耳にしたことがあっても、実際にどんな取引なのか詳しくは分からない方も多いでしょう。「Foreign Exchange」の略称であるFXは、日本語では「外国為替証拠金取引」と呼ばれています。簡単に言えば、世界中のさまざまな国の通貨を売買して、その価格の変動から利益を得ることを目指す投資方法です。
海外旅行に行く際、空港や両替所で日本円を米ドルやユーロに交換した経験はありませんか。実はFXも基本的には同じような通貨の交換を行っています。違いは、実際に外貨を使うためではなく、為替レートの変動を利用して収益を狙う点にあります。
例えば、1ドル=100円のときに10万円で1,000ドルを購入したとします。その後、1ドル=110円に値上がりした時点で日本円に戻すと、11万円になります。この場合、為替レートの変動によって1万円の利益が生まれたことになるわけです。このように、通貨の価値の変化を利用して差額を得るのがFXの基本的な仕組みです。
FXで得られる2種類の利益
FXには大きく分けて2つの利益の形があります。ひとつは「為替差益」と呼ばれるもので、通貨を安く買って高く売る(あるいは高く売って安く買い戻す)ことで得られる利益です。株式投資などでいうキャピタルゲインに相当します。
もうひとつが「スワップポイント」です。これは2つの国の金利差から生まれる利益で、低金利の国の通貨を売って高金利の国の通貨を買った場合、その金利差に相当する金額を毎日受け取ることができます。例えば日本の金利が0.1%、別の国の金利が8%だとすると、その差である7.9%分がスワップポイントとして日々積み上がっていきます。ただし逆の取引をした場合は、スワップポイントを支払う必要が出てくるので注意が必要です。
| 利益の種類 | 特徴 | 向いている取引スタイル |
|---|---|---|
| 為替差益 | 通貨の売買価格差から得られる | 短期~中期の売買 |
| スワップポイント | 金利差によって毎日発生する | 中長期の保有 |
どちらの利益を狙うかは、自分の投資スタイルや取引にかけられる時間によって選ぶことができます。毎日チャートをチェックして短期的に売買を繰り返す方もいれば、高金利通貨を長期間保有してスワップポイントをコツコツ貯める方もいます。
レバレッジで少額から大きな取引が可能
FXの最大の特徴といえるのが「レバレッジ」という仕組みです。レバレッジとは「てこの原理」を意味する言葉で、小さな力で大きなものを動かせる仕組みのことを指します。FXでは、実際に手元にある資金よりも大きな金額の取引ができる仕組みとして用いられています。
日本では個人の場合、最大で預けた証拠金の25倍までの取引が可能です。つまり4万円の資金があれば、100万円分の取引ができる計算になります。1ドル=100円のとき、通常なら100万円分の米ドル(1万ドル)を購入するには100万円の資金が必要ですが、レバレッジを使えば4万円から取引を始められるのです。
レバレッジを活用すると、少ない資金で大きな利益を狙えるメリットがありますが、同時に損失も大きくなる可能性があることを忘れてはいけません。初心者の方は、まず低いレバレッジから始めて、取引に慣れてから徐々に調整していくのがおすすめです。
FXが投資初心者にも選ばれる理由
投資にはさまざまな選択肢がありますが、その中でもFXが多くの人に選ばれているのには理由があります。ここでは、FXならではのメリットについて詳しく見ていきましょう。
24時間取引できる柔軟性
FXは土日を除いて、ほぼ24時間いつでも取引が可能です。具体的には、日本時間の月曜日早朝から土曜日早朝まで取引できます。株式投資の場合、日本の証券取引所が開いている平日の9時から15時(昼休みを除く)という限られた時間内でしか取引できませんが、FXは世界中の市場がリレー形式でつながっているため、昼夜を問わず取引のチャンスがあります。
例えば、日中は仕事で忙しい会社員の方でも、帰宅後の夜間や早朝の時間を使って取引することができます。また、世界のどこかの市場が必ず開いているため、重要な経済ニュースが発表されたときにすぐ対応できるのも大きな利点です。
- ウェリントン市場:日本時間の早朝にスタート。取引量は比較的少なめで、値動きも穏やか
- 東京市場:日本時間の午前9時55分頃が最も活発。企業の実需取引が多い時間帯
- ロンドン市場:夕方以降に活発化。欧州の経済指標発表で大きく動くことがある
- ニューヨーク市場:夜間に開始。米国の経済指標が発表され、値動きが激しくなりやすい
時間帯によって市場の特性が異なるので、自分のライフスタイルに合わせて取引する時間を選べます。初心者の方は、まず東京市場の時間帯から慣れていくのがよいでしょう。
少額から始められる手軽さ
FXは数千円程度の少額からでも取引を始めることができます。多くのFX会社では1,000通貨単位から取引できるため、例えば1ドル=150円の場合、レバレッジを最大まで使えば約6,000円から取引可能です。もちろん、最初からレバレッジを高くする必要はなく、余裕を持った資金で低いレバレッジから始めることもできます。
株式投資の場合、銘柄によっては最低でも数万円から数十万円の資金が必要になることも珍しくありません。その点、FXは手元の資金が限られている方でも気軽に始めやすい投資方法といえます。ただし、少額だからといって油断は禁物です。損失のリスクも常に意識しながら取引することが大切です。
円高でも円安でも利益を狙える
FXの大きな魅力のひとつが、相場が上がっても下がっても利益を狙えることです。通常の現物取引では「安く買って高く売る」ことで利益を得ますが、FXでは「高く売って安く買い戻す」という逆の取引も可能です。これを「売りから入る」といいます。
例えば、1ドル=150円のときに「これから円高になりそうだ」と予測したとします。このとき、米ドルを売って日本円を買うポジションを持っておけば、予想通り1ドル=140円まで円高が進んだ時点で決済することで、10円分の利益を得ることができます。つまり、相場がどちらに動くかを予測して、上昇局面でも下落局面でも収益のチャンスがあるのです。
株式投資では基本的に株価が上がらないと利益になりませんが、FXでは相場の方向性さえ正しく読めれば、どんな局面でも利益を狙えるのが特徴です。ただし、予想が外れた場合の損失も同様に発生するため、リスク管理は常に意識しましょう。
取引コストが安い
FXは外貨預金などと比べて、取引にかかるコストが非常に安いことも魅力です。多くのFX会社では取引手数料が無料で、実質的なコストは「スプレッド」と呼ばれる買値と売値の差だけです。このスプレッドは通貨ペアによって異なりますが、米ドル/円の場合、0.2銭程度と非常に狭く設定されています。
外貨預金の場合、1ドルあたり往復で1円~2円程度の手数料がかかることも珍しくありません。それに比べると、FXのスプレッドは数十分の一から数百分の一と、圧倒的に低コストで取引できます。取引回数が増えるほどこのコスト差は大きくなるため、特に短期売買を繰り返す場合はFXの方が有利といえるでしょう。
初心者が知っておくべきFXのリスク
FXには魅力的なメリットがある一方で、きちんと理解しておくべきリスクも存在します。これから取引を始める方は、利益を追い求めるだけでなく、リスクを正しく認識して適切に対処することが重要です。
レバレッジによる損失拡大のリスク
先ほどレバレッジのメリットをお伝えしましたが、同じ仕組みが損失を拡大させる要因にもなります。レバレッジをかけると少ない資金で大きな取引ができる反面、予想と反対方向に相場が動いた場合、損失も大きくなってしまいます。
例えば10万円の資金でレバレッジ25倍をかけて250万円分の取引をしている場合、わずか4%の相場変動で10万円の損失が出て、元手がゼロになってしまう計算です。このような事態を避けるために、特に初心者の方は実効レバレッジを低く抑えて取引することをおすすめします。
実効レバレッジとは、実際に取引している金額と預けている証拠金の比率のことです。最大レバレッジが25倍だからといって、必ずしもその倍率で取引する必要はありません。余裕を持った証拠金を預けておくことで、実効レバレッジを2~3倍程度に抑えることができ、急な相場変動にも耐えやすくなります。
ロスカットについて理解する
FX取引では「ロスカット」という仕組みがあります。これは、含み損が一定の水準に達したときに、保有しているポジションが自動的に強制決済される仕組みです。ロスカットは投資家を守るための制度ですが、大きな損失を確定させてしまう結果にもなります。
ロスカットを防ぐ方法は主に2つあります。ひとつは追加で資金を入金して証拠金を増やすこと、もうひとつは保有しているポジションの一部を決済して必要証拠金を減らすことです。いずれにしても、最初から余裕を持った資金管理をしておくことが、ロスカットのリスクを減らす最善の方法です。
為替変動による損失リスク
為替相場は、経済指標の発表や政治的な出来事、中央銀行の政策変更など、さまざまな要因で大きく変動します。特に重要な経済指標が発表される際は、数秒から数分の間に大きく値が動くこともあります。
このような急激な変動に巻き込まれないようにするには、重要な経済指標の発表時間を事前にチェックしておくことが大切です。また、「逆指値注文」という注文方法を使うことで、想定以上の損失を防ぐこともできます。逆指値注文とは、相場が不利な方向に動いたときに自動的に決済する注文方法で、損失を一定範囲に抑える効果があります。
流動性リスクと取引の成立
取引量が多い米ドル/円やユーロ/円のような主要通貨ペアであれば、ほとんどの場合スムーズに取引が成立します。しかし、取引量が少ない通貨ペアや、経済状況が不安定な国の通貨では、売り手や買い手が見つからず、希望する価格で取引できないことがあります。
初心者の方は、まず米ドル/円のような流動性の高い通貨ペアから始めることをおすすめします。取引が成立しやすく、スプレッドも狭いため、予想外のコストがかかりにくいというメリットがあります。
| リスクの種類 | 主な対策 |
|---|---|
| レバレッジリスク | 実効レバレッジを低く抑える、余裕資金で取引する |
| ロスカットリスク | 証拠金に余裕を持たせる、ポジションサイズを調整する |
| 為替変動リスク | 逆指値注文を活用する、経済指標の発表時間を確認する |
| 流動性リスク | 主要通貨ペアを選ぶ、取引量の多い時間帯に取引する |
これらのリスクを正しく理解し、適切な対策を講じることで、より安全にFX取引を続けることができます。
FXを始めるための4つのステップ
FXに興味を持ったら、実際に取引を始めるまでの流れを確認しておきましょう。難しそうに思えるかもしれませんが、実際の手続きは意外と簡単で、最短で申込当日から取引を始めることも可能です。
FX会社を選ぶ
まずは取引するFX会社を選びます。FX会社によってスプレッドの幅、スワップポイントの高さ、取引ツールの使いやすさ、サポート体制などが異なります。自分の取引スタイルに合った会社を選ぶことが大切です。
短期売買を頻繁に行うなら、スプレッドが狭い会社を選ぶとコストを抑えられます。長期保有でスワップポイントを狙うなら、保有したい通貨ペアのスワップポイントが高い会社を選びましょう。また、初心者の方は、操作しやすい取引ツールやサポート体制が充実している会社を選ぶと安心です。
口座を開設する
FX会社が決まったら、口座開設の手続きを行います。多くの会社では、パソコンやスマートフォンからオンラインで完結できるようになっています。申込フォームに氏名や住所などの基本情報を入力し、本人確認書類とマイナンバー確認書類をアップロードまたは郵送で提出します。
本人確認書類は運転免許証やマイナンバーカードなどが使えます。スマートフォンで本人確認を行う「スマホで本人認証」のサービスを利用すると、最短当日に口座開設が完了することもあります。審査が通れば、ログインIDとパスワードが記載された書類が届き、すぐに取引を始められるようになります。
資金を入金する
口座開設が完了したら、取引に使う資金を入金します。多くのFX会社では、インターネットバンキングから24時間いつでも入金できる「ダイレクト入金」や「クイック入金」といったサービスを提供しています。これらのサービスを利用すると、入金手数料が無料で、即座に口座に反映されるので便利です。
初心者の方は、最初から大きな金額を入金する必要はありません。無理のない範囲の金額から始めて、取引に慣れてきたら徐々に増やしていくことをおすすめします。大切なのは、余裕資金で取引を行うことです。
実際に取引を始める
資金の入金が完了したら、いよいよ取引開始です。取引画面にログインして、まずは少額の取引から始めてみましょう。最初のうちは、取引ツールの操作方法や注文の流れに慣れることを優先します。
多くのFX会社では、実際の資金を使わずに取引の練習ができる「デモトレード」というサービスを提供しています。仮想の資金を使って本番と同じ環境で取引を体験できるので、操作に不安がある方はデモトレードから始めてみるのもよいでしょう。
- デモトレードで操作方法を覚える
- 少額の取引から始めて徐々に慣れていく
- 損切りのルールを決めて必ず守る
- 取引記録をつけて振り返る習慣をつける
焦らずに、まずは取引の流れや感覚を掴むことを目標にしましょう。経験を積むにつれて、自分なりの取引スタイルが見えてくるはずです。
初心者におすすめの通貨ペアと取引スタイル
FXでは多くの通貨ペアから選んで取引できますが、初心者の方にはまず流動性が高く、値動きが比較的安定している通貨ペアから始めることをおすすめします。
米ドル/円から始めるのが無難
最も取引しやすいのは米ドル/円です。世界で最も取引量が多い通貨ペアのひとつで、情報も豊富に手に入ります。日本のニュースでも為替情報として頻繁に報道されるため、相場の動向を把握しやすいという利点があります。
また、米ドル/円はスプレッドが狭く、取引コストが安いこともメリットです。多くのFX会社で0.2銭~0.3銭程度のスプレッドで提供されているため、短期売買を繰り返す場合でもコスト負担が少なくて済みます。
取引スタイルを決める
FXには大きく分けて4つの取引スタイルがあります。それぞれに特徴があり、自分の生活リズムや性格に合ったスタイルを選ぶことが大切です。
スキャルピングは、数秒から数分という非常に短い時間で取引を完結させるスタイルです。小さな利益を何度も積み重ねていくため、集中力と素早い判断力が必要になります。初心者には少しハードルが高いかもしれません。
デイトレードは、その日のうちに取引を完了させるスタイルです。数分から数時間ポジションを保有し、日をまたいでポジションを持ち越すことはありません。日中に時間が取れる方や、夜間に集中して取引できる方に向いています。
スイングトレードは、数日から数週間という中期的なスパンでポジションを保有するスタイルです。毎日チャートに張り付く必要がなく、比較的ゆったりとした取引ができます。仕事が忙しい会社員の方でも続けやすいスタイルです。
ポジショントレードは、数週間から数ヶ月、場合によっては年単位でポジションを保有する長期投資スタイルです。スワップポイントを積み重ねながら、大きなトレンドに乗って利益を狙います。じっくりと腰を据えて投資したい方に適しています。
初心者の方には、まずデイトレードかスイングトレードから始めることをおすすめします。これらのスタイルは、チャート分析を学びながら取引経験を積むのに適しており、極端に短い判断時間を求められることもありません。
FX取引を成功させるためのポイント
FXで安定して利益を出し続けるには、テクニックだけでなく、メンタル面や資金管理の知識も重要になります。ここでは、初心者の方が押さえておきたい基本的なポイントをご紹介します。
資金管理を徹底する
FXで最も大切なのは資金管理です。どれだけ優れた分析力があっても、資金管理ができていなければ長続きしません。一度の取引で投資資金の全てを失うようなリスクは絶対に避けるべきです。
一般的に、1回の取引で許容する損失は全資金の2%以内に抑えるのが良いとされています。例えば10万円の資金があれば、1回の取引での最大損失を2,000円以内に設定します。このルールを守ることで、たとえ連敗が続いても致命的なダメージを受けずに済みます。
損切りのルールを決めておく
取引を始める前に、「ここまで損失が出たら必ず決済する」という損切りラインを決めておきましょう。多くの初心者が失敗する原因は、損切りができずに含み損を抱え続けてしまうことです。
「もう少し待てば戻るかもしれない」という期待は禁物です。事前に決めた損切りラインに達したら、機械的に決済することが大切です。逆指値注文を使えば、自動的に損切りを実行してくれるので、感情に左右されずに済みます。
感情的な取引を避ける
取引で損失が出たとき、すぐに取り返そうとして無理な取引をするのは危険です。焦って取引量を増やしたり、根拠のないポジションを持ったりすると、さらに大きな損失を招く可能性があります。
損失が出たときこそ冷静になることが大切です。一度取引を休んで、何が悪かったのかを振り返る時間を持ちましょう。感情をコントロールできることが、長期的に成功するための条件のひとつです。
継続的に学習する
FXの世界は常に変化しています。経済状況や市場の動向を理解するために、継続的な学習が欠かせません。多くのFX会社では、初心者向けのセミナーや学習コンテンツを提供しているので、積極的に活用しましょう。
また、自分の取引記録をつけて振り返ることも重要です。成功した取引と失敗した取引を分析することで、自分の傾向や改善点が見えてきます。少しずつでも成長を続けることが、FXで成功するための近道です。
FXは決して難しい投資ではありませんが、正しい知識と適切なリスク管理が必要です。この記事で紹介した基本をしっかりと理解して、焦らずに一歩ずつ進んでいきましょう。まずは少額から始めて、実際の取引を通じて経験を積むことが何より大切です。